12月24日、あべりょうの新作動画「東京オリンピック規制委員会」がYouTubeにアップされ、その内容が大きな話題を呼んでいます。
経済、政治、人間のタブーを鋭くえぐり出す楽曲を多数発表している、正体不明のアーティスト・あべりょう。今年5月に公開された「核攻撃サバイバー」は12月26日現在、YouTubeでの再生回数2000万回を突破しているなど、その影響力は止まるところを知らないです。
今回発表された「東京オリンピック規制委員会」は、規制委員会によって「オリンピックを応援することを禁止される」という衝撃的な世界観を歌っているが、実はこれは言いがかりでも何でもなく、現実世界で実際に起こっている問題なのです。
JOC(日本オリンピック委員会)は、大会の公式スポンサーではない企業や個人が、オリンピックなどの巨大なイベントに便乗したマーケティング活動(アンブッシュ・マーケティング)を行うことを禁止するため、許可なくロゴマークや公式キャラクターを使用してはいけないというルールを定めています。
一見するともっともらしいルールだが、日本広告機構によると「いかなる文言を使用しようとも、商業広告で2020年のオリンピック東京大会を想起させる表現をすることは、アンブッシュ・マーケティング(いわゆる便乗広告)として不正競争行為に該当するおそれがあり、JOC(日本オリンピック委員会)やIOC(国際オリンピック委員会)から使用の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性がある。」とのことで、同機構が公式サイトにて公表しているNGリストには以下のような言葉が並びます。
・東京オリンピック・パラリンピックを応援しています。
・祝2020年開催
・祝2020年オリンピック・パラリンピック開催決定
・2020年にはばたく子供たちを応援
・東京で未来の夢を実現
・オリンピック開催記念セール
・2020円キャンペーン
・祝・夢の祭典
・祝・東京決定!
・7年後の選手を応援しています
・「東京」「2020年」の使用(セット・単体ともに)
このような言葉を使った際に便乗広告に該当するかどうかは総合的に判断されるとのことだが、実際にはどの程度まで許されるのかなど線引きは曖昧だ。純粋に応援の気持ちで書き込んだ言葉のせいで損害賠償請求を受けるかもしれないと考えると、手放しでオリンピックを楽しめなくなると感じるのは自然な感情だろう。
YouTubeコメントやTwitterなどでは「この歌の内容マジなん?」という戸惑いの声や、「盛り上げたいのならそこそこオープンにすればいいのに」「オリンピックが日本人皆で祝えないのはつまんない」、「インスタで東京五輪会場なうとかもアウト?」といった意見などさまざまな言葉が飛び交っており、オリンピックを目前にして起きた問題に一石を投じたあべりょうの動画は現在も拡散され続けているようだ。
[YouTube リンク]
東京オリンピック規制委員会 あべりょう