役者もスタッフもそれぞれが本気でぶつかった奇跡の映画『さようなら』 世界初のアンドロイド出演映画に新井浩文「待ち時間に気を遣わなくていいのでアンドロイドとの共演は楽だった」

世界初、人間とアンドロイドが共演する映画として話題の『さようなら』が11/21(土)に公開し、深田晃司監督、主演のブライアリー・ロングさん、新井浩文さんが登壇した初日舞台挨拶を実施いたしました。本イベント模様を報告します。

 

■日時:11月21日(土)

■場所:新宿武蔵野館(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3階)

■登壇者:深田晃司監督(35)/ブライアリー・ロング(ヒロイン:ターニャ)(27)/新井浩文(ターニャの恋人・敏志)(36)

 

初日上映後の客席に登場したのは、深田晃司監督、主演のブライアリー・ロングさん、そして新井浩文さんです。

本作は劇作家の平田オリザさんと、ロボット工学者の石黒浩先生が共同で進める人間とアンドロイドが共演する演劇プロジェクト「さようなら」を映画化したものです。

 

深田監督は「本作は平田オリザさんが作り上げた演劇、そして石黒浩先生が作り上げたロボット工学、この二つの成果をお借りして出来た作品。2010年のアンドロイド演劇から苦節5年、ようやく映画を完成し公開することが出来ました」と映画公開に対しての万感の思いを述べました。

アンドロイド演劇の映画化に対しブライアリーさんは「アンドロイドと、死期が近い女性との会話で成り立ち、それ以上の設定がないアンドロイド演劇を映画化するにあたり、どういうふうに世界観を拡げていくのかが、監督やキャスト、スタッフのチャレンジでしたが、それが見事に完成した映画になっています」と語り、新井さんは「深田監督の世界がちゃんと出ていた。最近すごく細かいカット割りの映画が多い中で、『さようなら』のように長回しの見ごたえあるものはとても好きです。とてもいい作品になっています」と述べました。

世界初となる、映画でアンドロイドとの共演を果たした新井さんは、「人間ではないから待ち時間とか寒いのとか気を遣わなくていいから楽なんです(笑)。人間同士だと気を遣うから。あとアンドロイドがミスするようなことは絶対にないですね(笑)」とアンドロイド女優・ジェミノイドFを褒め、自らの芝居についても「基本間違えないです!(笑)」と俳優としてのプライドを示し会場を沸かせました。

劇中、ソファーに裸になったターニャが寝そべり、窓の外が徐々に暗く、夜になっていく長い時間をそのまま撮影するという印象的なシーンがありますが、何とカメラを4時間回しっぱなしで撮影したそう。「ブライアリーさんには4時間動かないでとお願いをしました。大変だったと思います(笑)」と監督が撮影秘話を明かし観客を驚かせました。

主人公・ターニャの恋人であったがターニャのもとから去ってしまうという男・敏志という役どころについて新井さんは「元々、台本にはターニャのもとを去った後に敏志が自己嫌悪で自分の頬を殴るシーンがありました。自分は、性格上(芝居であろうとも)ガチでやる人なので、思い切り自分の頬を殴ったら腫れるだろうな・・・と心配していたのですが、監督からそのシーンが無くなったと聞いて、内心ホッとしました(笑)」と俳優魂が不発に?終わった裏話を披露しました。それに対し深田監督は、「敏志はできるだけ悪い男にしようと思った。新井さんは本心を全く感じさせないんです。そこがリアルだと思っていて、スクリーンの中で出してほしかった。出来た作品に対しすごく満足しています。」と述べた。本作で死期が近い主人公を演じたブライアリーさんは「撮影のために5キロくらい痩せた」と新井さんに負けず女優魂を語った。

最後に、監督は「本作で一番描きたかったことは“メメント・モリ(死を想う)”。人はいずれ死ぬがその時がくるまで経験することはできません。経験できない死をバーチャルとして体験できるものが、“死”を描いた芸術作品であると思います。」、新井さんは「映画はお客様に観てもらって初めて完成するもの。口コミで話題にして欲しいです。」、ブライアリーさんは「とても実験的な映画です。スタッフ・キャストで心を込めて作った特別な作品になりました」とそれぞれの作品に対する思いを伝えました。

 

<物語>

汚染された世界で生きるターニャと”アンドロイド”のレオナ。死を見つめて、生を想う―

日本で稼働する原子力発電施設の爆発によって放射能に侵された近未来の日本。日本の国土のおよそ8割が深刻な放射能汚染に晒され、政府は「棄国」を宣言した。各国と提携して敷かれた計画的避難体制のもと国民は、国外へと次々と避難していく。その光景をよそに、避難優先順位下位の為に取り残された南アフリカの難民、ターニャ(ブライアリー・ロング)。そして幼いころから病弱な彼女をサポートするアンドロイド、レオナ(ジェミノイドF)。彼女たちのもとを過ぎていく多くの人々。そしてそれぞれの生と死。やがて、ほとんどの人々が消えていく中、遂にターニャとレオナは最期の時を迎えることになる・・・・・。

 

脚本・監督:深田晃司(「歓待」「ほとりの朔子」)

原作:平田オリザ

アンドロイドアドバイザー:石黒浩

出演:ブライアリー・ロング、新井浩文、ジェミノイドF、村田牧子、村上虹郎、木引優子

配給・宣伝:ファントム・フィルム

公式サイト:sayonara-movie.com

 

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